大阪府立大学体育会弓道部

かっこいい射ってなんだろう

 かっこいい射ってなんなんだろう。たびたびそう思わされてきました。僕自身自分で言うのもなんですが、ありがたいことに今まで他人から、増田は射がかっこいいよね、とかたまに言われることがありました。 しかし自分で見るとそうは思えない。それにかっこいいと思う射もその人によります。それゆえに、かっこいい射ってなんだ?とずっと悶々としてきました。
 けど最近になって気づいたんです、かっこいい射に。これに気づいたのはリーグ戦の終盤あたり、9〜10月ぐらいかな。そのとき大阪府立大学は二部リーグ戦で全敗、三部リーグとの入れ替え戦まで突入しました。 リーグ降格となるとまあ大変ですよ。二部と三部はレベルと格が全然違う。府大は長らく二部でしたので三部に落ちたとなるとOBも黙っちゃいない。それゆえに当時の幹部(三回生)からしたら入れ替え戦は絶対勝たなくちゃならない、代としてのプライドがかかってますからね。もうみんなピリピリです。そんな雰囲気でした。
 しかしここで弓道、こいつはなかなかの悪魔で実はそんな華麗なもんなんかじゃない。皆さんが想像しているほど弓というのは簡単なものじゃなく、今まで培ってきた努力なんか一瞬で消しクズにするほど調子の波に上下があります。
 なので当時の幹部もその悪魔に取り憑かれ、皆さん自分が思うようにうまくいかないのが現状でした。しかしそんな中でも入れ替え戦には勝たなくちゃならない。もう大変です。みんな必死です。僕も試合メンバーだったので間近でその様子を見ていました。
 そこで気づきました、かっこいい射とはなんなのかに。
 幹部、とくに主将と女子部リーダーには背負うものがあります。府大という名前、そこにはお世話になった先輩方・OBさんが作られてきた歴史がある。それに、今目の前にいる手塩にかけて育てた大切な後輩もいる。ここで負ければ後輩が幹部になったときに大きく響く。そして自分たちの代のプライド。一回生から重ねてきた、私たちの代というものがある。
 個々人にも今まで積み重ねてきたそれぞれの背負う思いがある。長らく戦力として活躍していたのにスランプにはまり低迷、そこから何とか出ようと踏ん張ってきた者。練習を誰よりも重ね、試行錯誤して貪欲に進んできた者。とにかく皆んなのサポートに尽力を注いできた者。そして4回生でありながら後輩のために戻ってきた者。
 そんな人たちが、背負うものの重みに耐えながら必死になって、中ててやる、地面這いつくばってでも、中ててやる、この思いが射から滲み出たとき、その射はたとえどんなものであれかっこいい。そう思わされました。
 かっこいい射とは外ではなく内にある思いにあると気づかされました。
 ゆえに、僕もこのようなかっこいい射を引きたい、そう思うようになりました。だから、僕たちの代も一個上の先輩方と共に頑張ります。そして、まだ見ぬ新入生も僕たちとともにこのようなかっこいい弓を引きませんか?是非、お待ちしております。

 次回は豊山です。豊山が練習しているところを見ていると、弓道に対する熱い想いが伝わってきて、応援したくなります。次回もお楽しみに!

文責:増田紘太朗